今回は「入社1年目の教科書」を紹介していきます。
新入社員研修や就活対策としても利用されている本ですね。毎年、春になると本屋さんの目立つ位置に並べられています。
著者について
著者は岩瀬大輔さんです。
1976年生まれ。幼少期を英国で過ごす。1998年に東京大学法学部を卒業後、ボストンコンサルティンググループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード大学大学院に留学。同校を日本人で4人目となる上位5%の成績で卒業し、2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
経歴を見る限り、むちゃくちゃエリートですね。
すごすぎて本に書いてある内容も一般人には理解できないかと思われるかもしれませんが、書いてあることはシンプルで当たり前のことが多いです。当たり前の内容が多いのですが、私も含めて頭で理解していても、行動できていない人が多いと思います。
そういう意味では、新入社員だけではなく20代の社員も、この本を読んで多くの学びがある内容だと思います。
・入社数年目で仕事の基礎を固めたいと思っている人
・仕事で大きなチャンスがほしいと思っている人
【書評】入社1年目の教科書 ~仕事における原則~
本の構成ですが、まず仕事を行う上で著者が大切にしてきた3つの原則がでてきます。
その後、50のルールが著者の経験をベースに記載されています。
私が本書を読んで感じた感想と、その要約について述べていきます。
成長が加速する3つの原則とは?
著書が、仕事を行う上でこれまでに死守してきたという3つの原則があります。この3つの原則を守ることで著者の成長が加速された、どの組織においても大切にしてきた「芯」のようなものだそうです。
早速みていきしましょう。
①頼まれたことは、必ずやりきる
②50点で構わないから早く出せ
③つまらない仕事はない
これをみて当たり前のように感じられたでしょうか。それぞれの原則の奥には、著者の深い考えがあります。
1つずつみていきましょう。
①頼まれたことは、必ずやりきる
著者が新社会人にアドバイスを贈る際、最初にこのアドバイスをするそうです。
仕事を頼まれた時に、2パターンに分かれます。
①依頼された仕事を催促されるまでほったらかしにする人
②リマインドをしなくても、(完成度に関わらず)とりあえず最後までやってくる人
仕事を依頼されたときは、②とりあえず仕事をやりきるという人を目指しましょう。
「いくら成績優秀であっても、何度も催促しない限り頼んだことをやってくれない新人に、積極的に次の仕事を頼む人はいません。「何があってもやりきるんだ!」という強い意志をもって仕事に臨み、実際にやりきる人だけが信頼されるのです」
自主的に仕事をやりきるという意識を持って仕事に打ち込み続けることによって、仕事に対する信頼が積み重なり、次の仕事が回ってきます。
わからない点がでてきたら上司に相談しながら進めていけばいいのです。
依頼されたらすぐメモをして依頼された内容自体を忘れないようにする、その日のうちに時間をつくって依頼内容を細分化してどこから手をつけるか決めるなどの、ほったらかしにしないための自分なりの工夫も必要だと感じます
①仕事をやりきる
②信頼をされて次のチャンスを得る
③新たな仕事が回ってきてそれをやりきる
このように、①~③のサイクルを繰り返すことにより、他の人とも大きな差が広がっていくことを著者は伝えています。
②50点で構わないから早く出せ
上司に今の成果をみせるのが怖くて、つい完璧な出来になるまでしまっておこうと考えがちです。
1カ月で100点を見せるのではなく、1週間で50点を出したほうがいいと著者は説きます。
ビジネスの現場は、誰の助けも借りず、何も見てはいけない学校の試験とは違います。人の力を使うことは悪ではないのです。求められるのは、良い成果を出すこと、それにスピードです。全てのリソースを総動員して、より良いアウトプットを1秒でも早く出すことを心掛けてください。
まず、自分でできる範囲のことを行いましょう。その後は、完璧に仕上がるまで自分の中で温めておくのではなく、途中報告も兼ねて上司に見てもらったほうが最終のクオリティは上がるはずです。
また、時間ぎりぎりまで自分で作業して、自分では完璧な仕上がりだと思っていたが、上司からみたら全然違う方向に進んでいたといった事態も防げるはずです。
こまめに報告を行い、50点の仕事の時点から改善点を指摘してもらいアップデートさせていくような仕事の進め方を行うことが、クオリティとスピードの両方でいい結果を残すことにつながります。
③つまらない仕事はない
世の中の仕事でつまらない仕事はないと著者は断言します。
一見単調な仕事でも、足腰を鍛えるためには欠かせないものだと考えて臨んでください。見方を変えることによって、あなたが向き合う仕事は全く違うものとして見えてくるはずです。
雑用に感じるような仕事も、自分なりの付加価値を付けることを意識することによって、取り組み方が違ってきます。
例えば議事録を書くといった依頼でも、単に時系列で議事録を書くだけではなく、要旨を加える、改善策や提言を入れるなど自分なりに工夫することができます。
少し体育会系っぽい教えですが、地味な作業でも手を抜かずに創意工夫しながら行うことで成長のスピードが変わってきます。また、そのような行動は、きっと誰かが見てくれているはずです。
50のルール(指針)から3つのポイントを紹介
3つの原則の紹介の後に、50項目に沿って著者の経験をもとにそれぞれ具体的な仕事のやり方が列挙されています。
50のルールから特に、私が大切だと感じたポイントを3点紹介します。
①仕事は総力戦
②目の前だけでなく、全体像を見て、つなげよ
③休息を取ることも「仕事」だ
①仕事は総力戦
「スピード」「質の高さ」
実際のビジネスで求められるのはこうした要素だとお伝えしました。そのためには、何を使っても、誰の助けを借りてもいいのです。僕が「50点でも構わないから早く出せ」と強調するのも、ビジネスはたった一人で成し遂げるものではないということを理解していただきたいからです。
私が、社会人になって一番違いを感じたのもこの点です。
極端な話ですが、学生の時は問題に対する答えは一つですが、社会に出ると答えが一つではない時もあります。上司が納得すれば、それが正解といったケースもあります。
学生の時は、問題を解くときは自分で解かないといけません。しかし、社会人になったら自分で1から調べるのではなく、自分より詳しい人に聞いてやり方を全て教えてもらったり、アウトプットがぶれないように経験豊富な人に初期段階から赤ペンを入れてもらったり、質の高い仕事を行うためには、どのような方法で攻略して問題ありません。
使えるものはなんでも使って、総力戦で取り組みましょう。
②目の前だけでなく、全体像を見て、つなげよ
これは、日々の仕事に打ち込むだけではなく、少し大きな視点を持ちながら取り組みましょうというテーマです。大きな視点というのは、経営者の目線や業界自体の流れを意識しましょうということです。
企業は集めた資金によりモノやサービスを販売・提供します。そこで得た利益を、資金が最大化できるように再び投下して循環させていきます。
企業にとって良い社員は、目の前の商品を売るだけではなく、企業価値を高めてくれる人材です。
企業価値を高める人材になるためにも、そもそも自分の会社がどのような経営状況なのかを把握しておく必要があります。
財務諸表の見方を勉強して、決算関係の最低限のことがわかるようにしておきましょう。財務諸表関連の入門書を一冊買うだけで、それなりのことがわかるはずです。
そして、会社の全体像を意識したうえで自分の仕事に取り組みましょう。
自分が手掛けている業務がどのような形で企業価値の向上につながっているのか。この点を理解する努力を怠ってはいけません。
ベテラン社員でもできていない人が多いですが、新入社員から意識しておくべきだと著者は説きます。
皆さんも、企業の全体像を見る習慣が身に付いたら、業界全体がどのような状況なのか、将来に向かってどのように変化しつつあるのか、業界はどうあるべきかについても考えてみてください。もっと言えば、業界を越えて日本がどうあるべきか、日本を越えて世界がどうあるべきかという視点も持ってほしいと思います。
目の前の仕事に打ち込むだけの人と、広い視点で全体像をみながら、そこから自分の仕事を関連付けることができる人では、大きく成長スピードが異なってくると思います。
私の周りでも、視野が広いと感じる上司がいましたが、すぐに出世していきました。
③休息を取ることも「仕事」だ
持てる力を100パーセント発揮して、最高のパフォーマンスを出し続けなければなりません。そのためには、アスリートと同じように体調管理、コンディショニングにも気を配る必要があるはずです。~中略~ では、社会人にとってのコンディショニングとは何でしょう。最も考えるべきは睡眠だと思います。
昔のように、長時間バリバリ働き、睡眠も短時間で乗り切るのがスゴイというような時代ではなくなってきています。
睡眠をしっかりとり、適度に運動して、食事も十分にとるといった基本的な生活習慣を維持していきましょう。それが、仕事のパフォーマンスにも良い影響を与えます。
私も新入社員の頃は、まだ体力もあったので少々無理をしても、翌日は普通に仕事をこなしていました。ただ今は、翌日に影響がでないようにできるだけお酒も飲まず、6時間の睡眠を確保するようにしています。
まとめ
社会人1年目の教科書では、目の前のことを一生懸命に取り組むことの重要性が一貫して書かれています。
常に前向きに取り組んでいる人に次のチャンスが回ってくるということですね。
毎日を大事に過ごしていきましょう。
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