歴史上もっとも有名な戦略書と言われる、「孫子」をご存知でしょうか。
中国の兵法書である『孫子』は、2500年以上も前に書かれたにもかかわらず、いまも世界中で読み継がれている本です。
本記事では、『孫子』の概要を名言とともにひも解くだけでなく、筆者が親和性が高いと勝手に感じた資産運用(インデックス投資)の世界で孫子の考えがどのように活かせそうか考えてみました
約2500年前に書かれた「孫子」
孫子は、大昔に中国で戦争の勝ち方について書かれた兵法書です。
当たり前ですが、文章をそのまま読み取ると戦争のことが書かれています。そのため、そこに書かれている戦い(競争)のエッセンスを昇華させて、現代風に解釈することが必要になってきます。
キングダムみたいな覇権を争う漫画が好きな人は少しタメになるかもしれませんが、普通の生活を送る人には兵の使い方を勉強しても全く意味がないですからね笑
孫子の中身を読み解いていくと、本質的な部分はトップの心構えや組織の運用、日常の人間関係にまで応用できる普遍性を持っています。
孫子とは(2000年以上前から伝わる兵法書)
『孫子』は春秋時代の武将・孫武が著したと伝えられる兵法書です。全13篇から成ります。
三国志の英雄である曹操や直近ではビル・ゲイツ、孫正義が愛読していることで有名です。愛読者は錚々たるメンバーですね。
2000年以上前から読み継がれているとは、世代を数十世代超えた大ベストセラーの本です。今も少し大きめの書店に行けば孫子の解説本がたくさん並んでいます。
孫氏の作者である孫武とは
孫子は孫武が著者と言われています。孫武は2500年前の古代中国”呉”の将軍です。

3万人の兵の兵を率いて20万人の楚を打ち破ったなどのエピソードがあるそうです。武将としても素晴らしい功績がありその時点で天才ですが、歴史に名を刻むような書物を書き上げたことに関しては本当の超天才だと思います。
孫子の哲学に触れていくと、その核心には「戦わずして勝つ」という戦略が見えてきます。個人的に、この考えはインデックス投資の本質とも非常に似ているのではと思っています(ネット検索したら全くヒットしなかったので、私だけなのかな・・笑)
この記事では、孫武が主張する戦いのエッセンスと、ある意味競争主義な現代金融投資の世界が結びつくと感じた部分をご紹介したいと思います。
孫子の解説本を数冊読みましたが、この本が一番わかりやすかったです。
①とにかく負けないようにする
孫子では、戦争を主題としながらも、戦いそのものを避けるという思想を重視しています。いかにして「無駄な争いを避け、最小の損害で最大の成果を得るか」という戦略思想を持つことの重要性を一貫して主張しています。
この考えが強調される背景には、戦国時代の争いの厳しさがあります。
戦国時代では、仮にある国との戦争に勝ったとしても、消耗が激しければ別の国に滅ぼされてしまうということが普通に起こっていました。周りに弱った際にだけ出てきて最後のおいしいところだけを狙おうとする”漁夫の利”を狙う人がたくさんいたようです。虎視眈々と周辺国が疲弊するそのタイミングを狙っていたわけです。
仮に戦に勝ったとしても、結果的に国が生き残れなかったら意味をなさないことを主張しています。特定の国との戦争にだけフォーカスしすぎない。厳しい世界を生き抜くうえにあたって、極めて実利的な考えだと思います。
また、”負けない・失敗を徹底的に避ける”ことの重要性も何度も指摘しています。この部分はインデックス投資の根本の考えとも通じると思っています。
投資の世界において、一般人は大負けを避けないとすぐに市場から退場してしまうことになります。投機的な運用は数十年単位でみると、一部のセンスのある人しか生き残れないのが実態です。
淡々と株式市場全体に連動する指数(インデックス)に投資して平均点を取り続けるインデックス投資は、大勝ちはないものの、大負け・失敗も避けることができます。大負けしないことで市場に生き残り続けることができ、株価上昇の恩恵を続ける可能性を増やすことができます。
百戦錬磨のプロがたくさんいるマーケットにおいて、一般人が負けないようにして資金を運用していく重要性はインデックス投資の名著「敗者のゲーム」でも強調されています。
テニスのプロとアマチュアを対比させる形で「敗者のゲーム」を説明する。プロのように長いラリーの末、ウイニングショットでポイントが入り、勝者が決まるのが「勝者のゲーム」。それに対してアマチュアは、ミスの少なさで勝敗が決まる。これが「敗者のゲーム」だ。
同じように現代の投資の世界は、相手より失点の少ない者が利益を出す。だから、「敗者のゲーム」なのである。
孫子が説くのは「勝ち続ける」ことではなく「敗けない仕組みをつくること」。これはまさに、負けないことを重視し、地味ながら確実に資産を築くインデックス投資の思想と重なるように思います。
投資の世界に入ると、つい「勝つこと」に意識が向きがちです。
短期で株価を当てたり、急騰銘柄を探したり、あるいは一発逆転を夢見たり。
しかし、実際にはそのような戦い方で長期的に成果を出すのは非常に難しいのが現実です。
その一方、インデックス投資は、そもそも相場で勝とうとせず、負けない勝負に徹します。
市場やライバル投資家と勝負せず、とにかく負けない。感情的な売買に巻き込まれず、ただ淡々と積み立てを続け、時間の力を味方にする。
このような背景もあり、インデックス投資は孫子で主張されている「戦わないことで勝つ」ことを目指すような投資法に、ある意味では近い考えだと思っています。
無理な勝負を避ける
もう一つ、孫子にでてくる似たような考えを紹介します。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
敵の状況と自分の実力を正しく把握すれば、どれほど戦っても危険に陥ることはない、という意味です。ここでも勝つのではなく負けないことを強調しているのがポイントです。
孫子は決して無理に勝とうとはしませんでした。むしろ「勝てる戦だけをする」「勝算がなければ戦わない」という冷静さこそ最強の戦略だと説いています。
また、以下の名言もあります。
- 昔の善く戦う者は、先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。→昔から、戦いの巧みなものは、まず敵が自軍を攻撃しても勝てないようにしておいてから、敵が弱点を露呈し、自軍が攻撃すれば勝てるようになるのを待ち受けたものである。
- 勝つ可からざるは己に在り、勝つ可は敵に在り→負けないようにすることは自分自身でできることだが、自軍が敵に勝つかどうかは敵軍によって決まることだからだ
これも同じで絶対に負けないこと、つまり「無謀な挑戦を避け、勝てる土俵を選び、敗けない仕組みをつくる」ことを大切にしているのです。
これらの思想の根底にあるのは、この一番で天国が地獄かがきまるような大一番の勝負をできるだけ避けて、絶対に負けないようにして冷徹に勝負するという発想です。
力任せに突っ込めば勝てるかもしれないくらいの確率だと、何かの読み違いがあれば損害を被り、敗北する可能性も大いにあります。
だからこそ孫子は「百戦百勝よりも、戦わずして勝つこと」を理想としたのです。
また、孫子には、次のような有名な一節があります。
百戦百勝は善の善なる者に非(あら)ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。
つまり、「何度戦っても勝つ者は優れているが、そもそも戦うことなく相手を屈服させるのが最も優れた者だ」という意味です。
力で相手をねじ伏せることではなく、戦う必要がない状況を作り出すといった、損傷しない形での勝利を意味します。
無駄な消耗を避け、本質的な勝ちを得るようにするというのは、、現代の不確実な投資環境においても有効な考え方ではないでしょうか。
ある意味、平均点しか取りに行かないインデックス投資は大負けすることはないですし。そもそも平均点取りに行く気しかない投資法なので
一般人には多くの時間をかけて個別株投資したとしても、かけた時間の割に勝てるわけでもないことも意識しておかないといけないかもしれません。
目先の勝ちより、目的の達成を
孫子はまた、戦いそのものを目的とするのではなく、「国家の安定」「長期的な安全保障」といった大義のために戦略を用いるべきだと説きました。
これもまた、インデックス投資の哲学とも一致するような気がいています。
短期的な株価の上下に振り回されるのではなく、最終的な目的=資産形成や経済的自立の達成に重きを置くのが、インデックス投資家のスタンスです。
目先の勝利(一時的な爆益や、他人とのリターン競争)は、孫子的な言い方をすれば“目標や大義のない戦”に分類されます。
むしろ、「いかに負けずに、いかに損せずに、いかに目的を達成するか」が真の戦略であり、投資においても同様です。
短期的な損益ではなく、20年後、30年後の資産形成を見据える姿は、まさに孫子の「全体戦略」的な視点をもって日々の行動にうつす必要があると孫子を読みながら思いました
まとめ
孫子の兵法は、戦いの中に「勝つための知恵」だけでなく、「負けないための準備と姿勢」が込められています。そしてその哲学は、インデックス投資という現代の投資戦略にも通じるものがあると(勝手に)思っています。
私が孫子を読んで学んだのは、戦う(個別株投資する)ことを徹底的に避けるという大切さです。
「戦わずして勝つ」という孫子の教えは、短期的な勝ち負けにこだわらず、冷静に、淡々と「成果を得る構え」を整えることの大切さを教えてくれます。
インデックス投資は、「無理な戦いを挑まず、勝利を引き寄せるための戦略的選択」とも解釈できるような気がしています。ちょっと”こじつけ”かもしれませんが笑

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