
仕事が思うようにいかない



私はフツ―の人です(すごい成果はあげていません)<
今回はそんな方にぴったりの「絶対悲観主義」を紹介していきます。
本の帯に書いてある「心配するな、きっとうまくいかないから」はどのような意味なのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
【書評】絶対悲観主義 ~自分の思い通りにいくことなんてこの世の中にはひとつもない~
目次
本書の構成です。
第1章 絶対悲観主義
第2章 幸福の条件
第3章 健康と平和
第4章 お金と時間
第5章 自己認識
第6章 チーム力
第7章 友達
第8章 オーラの正体
第9章 「なり」と「ふり」
第10章 リモートワーク
第11章 失敗
第12章 痺れる名言
第13章 発表
第14章 初老の老後
本書のタイトルである「絶対悲観主義」の考えだけではなく、健康・友達・お金などに関する著者なりの考え・スタンスも書かれています。それだけではなく、オーラの正体といった独自の内容も書かれています。
堅苦しい文章ではなく、読みやすいのでサクッと読めると思います。たまにクスッと笑える内容もあります(少しボケがおじさんくさいですが)。
著者について
著者は経営学者の楠木健さんです。
1964年東京生まれ。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。
2010より一橋ビジネススクール教授。著書に『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』、『「好き嫌い」と経営』、『戦略読者日記』、『室内生活 スローで過剰な読書論』、『逆・タイムマシン経営』などがある。
「ストーリーとしての競争戦略」「好きなようにしてください」など読みやすく、世間に対する切れ味の鋭い本を数多く出版されていますね。
【感想・要約】絶対悲観主義
本書を読んで面白いと感じたポイントを3点紹介します。
- 絶対悲観主義 ~思い通りにいくことなんてない~
- 失敗の受け止め方――時間をかけて受け止める
- 婚活に見る獣性~マッチングアプリではわからない相性~
それぞれみていきましょう。
絶対悲観主義 ~思い通りにいくことなんてない~
本書のタイトルにもなっている絶対悲観主義とはどのような考えなのでしょうか。
絶対悲観主義とは、うまくいかない前提で仕事を行う姿勢をさします。
フツ―の人にとってベストだと僕が思っている仕事の構え、それが「絶対悲観主義」です。「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世の中にはひとつもない」という前提で仕事をする―――厳しいようで緩い。緩いようで厳しい。でも根本においてはわりと緩い哲学です。
仕事は、趣味とは違って他者に何らかの価値を提供しないといけません。誰かのためにする以上、そもそも自分の思い通りにならないという考えを持ちながら仕事をしようというのが、著者が提唱する絶対悲観主義です。
そもそも「うまくやろう」とするのが間違いなのではないか。それぞれに利害を抱えて生きている世の中、自分の思い通りになるほうがヘンで、僕のような大甘の凡人にとってはうまくいくことなんてほとんどないのが当たり前 ~(中略)~ これで一気に仕事生活が楽になりました。
たしかに、仕事において自分以外の要素はコントロールすることができず、場合によっては自分が頑張っても、どうしようもないときがあります。
うまくいかないと思って取組んだことが、うまくいかなかったら予想通りです。
でも、うまくいかないと思って取組んでみたら、結果としてうまくいけば、気分がよく喜びが倍増します。
メンタルを事前にマイナス側(うまくいかない側)に捉えておき、何が起きてもショックを受けないように心の準備をした後に、仕事に取組んでみる。
それくらいの感覚で取り組むのが一般人にはいいのではないかというのが筆者の考えです。
私も、仕事においては、①簡単~普通にこなせる仕事、②しんどい仕事の2つに分類できると考えています。
①普通にこなせる仕事に関して情熱を傾けて取り組むのは、成果がでると思いますが、②しんどい仕事では、情熱を傾けすぎると心が折れてしまう可能性もあります。
特に、しんどい仕事を行う上では、絶対悲観主義のような考えを持ち、心の予防線を張ったうえで仕事に取り組むというのは大切だと思いました。
ただ、この考えは仕事に関する構えを示したものであって、仕事で成果を上げるにはしっかりとした準備が必要になります。
仕事で結果を出すためには、自分の土俵をここと定め、目の前のお客に誠実に向き合い、自らの才能と能力に磨きをかけていくしかありません。
心の持ち方を変えて仕事をするのは、きっかけの部分です。
結果を残していくには、自分の能力のスキルアップを継続的に図って、淡々とやり続けることが大事になります。
失敗の受け止め方――時間をかけて受け止める
本書では、「絶対悲観主義」という失敗する前提で仕事を行います。それでも、立ち直ることが出来ないような大きな失敗をしたときは、じっと待って回復させることの重要性についても書かれています。
著者はある日、大きな失敗をし、周りに大迷惑をかけてしまったそうです
その経験をもとに、畑村洋太郎『回復力 失敗からの復活』を引用しながら、失敗に対する向き合い方を考察しています。
人間は失敗の直後に正しい対応を取ることはできない。
大きなショックやダメージを受けたときには、 ~(中略)~ 正しい判断や行動ができない。回復どころかさらに間違った行動に出る。ダメージがさらに大きくなるという悪循環に嵌り、自滅してしまう
大きな失敗の後に、少しでも取り戻そうとジタバタすると、さらに悪い状態になってしまう。それでは、どのような行動をとればいいのかというと、最善の対応は「エネルギーが戻ってくるのをひたすら待つ」ことが大切だと著者は説きます
とにかく目の前にできることを、淡々とやればいい。そのうちに時間は必ず過ぎていく。
本当に大きな失敗というのは、ゆっくりと癒す必要があります。時間をかけて自分の状態が回復するまで、ひたすらゆっくりと待つ。そうすると立ち直れなくなるような失敗も受け止める力が戻ってきます。
大きな失敗をした際にバタバタせずに「じっと待つ」ことができるように、日ごろから心にとどめておきたい考えですね。
婚活に見る獣性~マッチングアプリではわからない相性~
本書では、婚活体験記についても考察しています。仕事論とは全然関係ありません。
タメになるといった内容ではないのですが、単純に生々しい考察がおもしろかったので紹介します。
マッチング形式の婚活サイトでは、申し込み状況が可視化されます。この数字に徹底して現実的な傾向がはっきりと浮かび上がってきます。
女性はお金がある男性との余裕のある生活を望み、男性の方は若くて容姿が良い女性と結婚したい。需給がイヤというほどかみ合っています。
マッチングアプリにおいて、男性は①高収入、②イケメンの順番で絞られ、逆に女性は、①かわいさ、②若さの順番で絞られていきます。
たしかに、私の周り(男性)でマッチングアプリをしている人にどんな女の子を「いいね」しているのか見せてもらうと、ほとんどはかわいい子に「いいね」をしています(笑)
他にも要素があるにも関わらず、いや逆に、多くの要素があるからこそ、どうしても比較しやすいそれらの指標がメインとなって選んでしまう。このあたりが、マッチングアプリで、いろんな男女のせめぎ合いが起こる原因なのですね。
マッチングはコンテストではありません。
特定の次元で測定・比較できる「優劣」の問題ではないからこそのマッチングです。ところが、実際にシステムに乗ると、優劣を一元的に評価されている気分になってしまう。このねじれに婚活システムの落とし穴があります。
年収や容姿や職業は、もちろん大事です。ただ、それだけではなく、性格や細かい特徴も含めた「その人との相性」もそれ以上か少なくとも同様に大切なはずです。
本来は、性格なども含めた相手の総合的な面を見てマッチングするはずのシステムが、相互に評価をするという特性上、顔や年収をメインの指標として(無意識だとしても)選んでしまう。
そのあたりに、マッチングシステムの弊害がでてしまっていますね。
こうした弊害もありますが、日常生活では出会わないような人と知り合える可能性もあるため、マッチングアプリを使うことによるメリットも大きいですよね。
これらの特性を意識してマッチングアプリを使うことによって、システムをより上手に使えるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、絶対悲観主義を紹介しました。
期待をせずに、とりあえず仕事に取り組むといった考えを持ち、淡々と仕事を続けることは長い仕事人生においても大事なのではないでしょうか。そのほかにも、失敗の受け止め方、婚活の考察について紹介しました。
本記事だけでは紹介できなかったポイントもあるので、ぜひ本書を手に取ってみてください。
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