人生をもう少し良い方向となるようにしたい
無駄なことはできるだけしたくない
今回はそんな方にぴったりの本、「シンプルで合理的な人生設計」について紹介します。
著者は、橘玲(たちばなあきら)さんです。著書に「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」や『幸福の「資本」論ーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』などがあります。
綺麗事抜きに今ある条件の中で、現実的な大きな方針決定を手助けしてくれる1冊です。
そんな「シンプルで合理的な人生設計」ではどのようなことが書かれているのか紹介していきます。
人生の土台(金融・人的・社会資本)を手に入れる
本書が一貫して主張している内容は、以下のとおりです。
自由に生きるためには、人生の土台を合理的に設計せよ
「人生の土台」とは何を指しているのでしょうか。
ここでいう土台とは、1金融資本、2人的資本、3社会資本の3つを指します。
①金融資本・・・お金関係(金融市場に資金を投じて利益を得ること)
②人的資本・・・労働関係(労働市場に労働力を投じて利益を得ること)
③社会資本・・・人間関係(人的ネットワーク、共同体への帰属意識など)
本書では、これらの土台に関して、どのようにしたら効率的に強靭な土台を手に入れることができるかのヒントが書かれています。
これらの土台を手に入れるために、本書では「合理性」という観点から議論が展開されます。
ここでいう、合理性とはどういったものなのか詳しくみていきます。
合理性の基礎知識
本書でいう「合理性」とは、以下の考えです。
合理性とは、「投入した資源(リソース)に対してより多くの利益を得ること」
世間でもコスパ・タイパなどよく言われますが、日々の行動において、投入した量に見合った利益を得ているのか絶えず確認していこうということですね。
この考えを突き詰めていけば、以下の考えになります。
人生の優先順位を決めてそれ以外のものを徹底的に合理化する
例えば、服に興味がなければ、お店を決めてそのお店だけで定期的に服を買うようにする。
投資に興味がなければ、個別の銘柄を分析せずに、インデックスファンドを定期的に積み立てていく(こちらはファッションと違ってほとんどの人にとって最適だと思いますが)。食事に興味がなければ、夜にお店を探し歩くのではなく、スーパーで買う惣菜を決めておく。
そうするだけで平日の夜や休日の貴重な時間を他の優先順位の高いこと(仕事のスキルアップや家族との時間など)に時間を費やせるでしょう。
合理的に考えることは人生のいろいろな場面で役に立ちそうですね。
解決できない問題への取り組み方
当たり前ですが、人生を生きるうえでは、全てのことを完璧にできるわけではありません。
例えば、億万長者の人を考えてみます。お金は全く困っていないとしても、他の人と平等に1日は24時間であり、時間の制約があります。いくらお金があっても時間が有限であるため、全てをできるわけではありません。
お金や時間などのいろんな制約の中で日常生活を過ごしている以上、就活や転職といった大きなものから、明日の献立などのささいなことまで、いろんなことを選択していかないといけません。
選択肢の両方を選ぶことができず、片方しか選べない状況が多くあります。「トレードオフ」といわれ、人生のいろんな場面で必要となる考えですね。
この選択にあたって、理解しておくべき考えは、「原理的に解決することができない問題」へのアプローチです。
「アメリカ社会では詩人になっても食っていけないし、社会的な地位も低い。どうすればいいでしょう?」
「わたしが勤めている会社はファミリー企業で、五代前からずっと一族が経営しているんです。わたしのような外部の人間は絶対に幹部になれません。どうすればいいでしょう?」
こういった問題について考えるとき、
(革命などで)世界を変えることに挑むよりも、現実を所与の(与えられた)条件として受け入れてしまった方がいい。
どういうことか詳しく見ていきます。
詩人として食べていけないなら、別の仕事をしながら趣味として詩を書きながら、生活が安定したあとに創作活動にシフトしていく。
所属する企業に不満があるなら、自分が転職するか、その企業の良さ(地位・働き方が安定しているなど)を再認識して、人生設計を行う。
解決できない問題について、解決の糸口を見い出せず、グダグダ不満を言ったり悩んだりするより、まずは冷静に現実を受け入れましょう。そこから、現状において、できることから着手していきましょうということですね。
このマインドセットは、どの場面においても、参考になりますね。
人的資本の成功法則〜人的資本は1点集中する〜
私が本書を読んで印象に残った「人的資本の活用」について見ていきます。
人的資本の活用とは、端的に言えば、働いて利益を得ることです。
この人的資本を大きくするにはどのようにすれば良いのかを考えます。
Aさん、Bさんの二人がいたとしましょう。
(A)仕事を絞り、エネルギーを一つのことに集中して、その仕事の専門性を高める
(B)いろんな仕事を引き受け、いろいろなことをそつなくこなそうとする
二人を比べたとき、Aさんのほうが、将来的に大きな成果を期待できそうですね。専門性が高いというのは、その分野で仕事をするうえで、大きなアドバンテージです。
ただ、一般的なサラリーマンはBになりがちです。会社の雑用が、どうしても業務のかなりの割合を占めてしまうからです。
高度化した知識社会では、人的資本(高い専門性)をもたない者は、会社(労働市場)のなかで”居場所”を失い、うつ病など精神疾患のリスクが高くなる。人的資本を一極集中するエッセンシャル思考を勧める第一の理由は、金銭的な報酬が増えるからではなく、こころの健康維持なのだ。
さきほどの合理性のところで述べた優先順位の考えともリンクしますね。
仕事においては、専門性を磨ける業務を優先順位を高くして、雑用などは低くすることを徹底する。
実際、若手サラリーマンは雑用もしなければなりませんが、できるだけ時間をかけないように工夫したいですね。
専門性を高める時間を捻出することが、人的資本を大きくするために大切な戦略ですね。
まとめ
今回は橘玲の「シンプルで合理的な人生設計」を紹介しました。
人生において、資源が有限の中で、できることを取捨選択して行っていく。
そのための戦略が書かれてあるオススメのおすすめの1冊です。
他にも自分にとって大事な時間をつくるための「時間術大全」の書評も書いています。
日々の生活を整えるストレスフリー大全もオススメの1冊です。
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